第111回看護師国家試験の合格状況は、令和4年3月25日(金)午後2時に厚生労働省より発表されました。
合格率は、驚きの91.3%で昨年より0.9ポイント上昇し過去10年間で最高となりました。合格率が一番高くなったことで112回受験生にとってはひと安心ですが、ここが合格率の最高点になる可能性もゼロではありません。112回からは出題基準も改定されますし、コロナ感染もどうなるのか未知数ですので、早めの準備を心掛けたいところです。
ここからは国試合格に向けての準備を過去の実施状況や先輩受験者の生の声を交えて話を進めたいと思います。なにせ看護師国家試験は年1回の実施です。試験間近になって慌てないよう「試験に向けての準備」から「試験当日気を付けること」をまとめていますので参考にしてください。
また、試験におけるコロナ感染対策等については、事前に厚生労働省より発表されてますのでホームページ等でチェックしておきましょう。
一般問題+状況設定問題の合格基準は前回より8点上昇、合格率も0.9ポイント上昇しました。112回も合格率90%前後になると予測されますが、出題基準が改正となりますので気を引き締めて試験勉強に取り組みましょう。また前回大幅に上昇した「既卒者」の合格率は38.9%と大きく低下しました。相変わらず既卒者には厳しい状況ですので“新卒”での合格を目指しましょう。
★第111回看護師国家試験
受験者数はここ数年6万5千人あたりとなっています。合格率は第108回から4回続けて上昇しています。過去20年を見ましても5回連続で合格率が上がり続けることはなかったことや第100回の91.8%の最高合格率後の第101回では1.7ポイントという最大の下降があったことも頭の片隅に入れて第112回国試に臨んでくださいね。合格率は医療技術の進歩や看護師需要の増減などタイムリーに世情を反映する部分があります。いずれにせよ最新の医療動向には常に注意を払っておきましょう。
★受験者数・合格者数・合格率の推移★
111回試験は令和4年2月13日(日)に実施されました。試験日以外にも「試験地」、「受験願書」の配布・受付等は前もって確認しておきましょう。試験会場が前回から変更となる場合もあるので移動手段・所要時間もあわせて確認しておきましょう。感染防止のため試験室の換気で窓の開放が行われる可能性もあるのでので暖かい服装等、防寒対策の準備も怠りなく。
★平常心で試験をむかえるために
看護師国家試験は、入試のように多くの志願者から選抜する試験ではなく、厚生労働省が定めた合格基準点を満たせば合格できる試験です。
合格基準点、いわゆる“ボーダーライン”は、
①『必修問題』と
②『一般問題+状況設定問題』に設けられており
①と②各々の“ボーダーライン”を満たせば国家試験に合格となります。
必修問題は合格基準点を8割(合計50問中40問以上正答)と厚生労働省が定めています。合計50問中40問(40点)以上正答する必要があります。基本的な問題中心の出題ですが前もって基準点が決められているので、模試などで常時40点以上がとれるよう日々の勉強を大事にしましょう。
一方、一般問題+状況設定問題の合格基準点は、毎年変動し、過去10年の得点率が最高で66.8%、最低で57.2%と約10ポイントの差があり、確実に合格を目指すなら得点率70%超えを目標とし受験計画をたてることをお勧めします。
★各問題の配点について
★一般問題+状況設定問題の合格基準および得点率の推移★
学習環境が整った「新卒者」の合格率は94~97%と非常に高いのですが、「既卒者」になると35~45%と新卒者に比べ半分以下の合格率に落ち込みます(だいたい3人に1人強の合格状況)。特に108回は30%を割り込む低下ぶりでした。仕事をしながら試験に臨むなど、学習環境が著しく悪化することが主な要因として考えられます。是非とも仲間が揃い、勉強しやすい学習環境等、「新卒」の時に一発合格するよう準備を整えましょう。
★既卒者・新卒者の合格状況★
直近過去2回(103回、107回)の出題基準改定時の試験では改定前より合格率が上昇していました。しかし112回はすでに4回連続で合格率が上昇していますので過去の事例は参考にならないかもしれません。どちらかと言えば、合格率は新型コロナ感染状況に影響を受けていると言っても過言ではないのではと思われます。
★出題基準改定と合格基準との相関関係★
過去15年分の看護師国家試験データ
実施回 | 西暦 (年) |
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格基準 | 一般+状況 得点率 |
|||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
全体 | 新卒 | 既卒 | 必修 | 一般・状況 | |||||
97 | 2008 | 51,313 | 46,342 | 90.3% | 94.6% | 47.1% | 24点以上/30点 | 180点以上/270点 | 66.7% |
98 | 2009 | 50,906 | 45,784 | 89.9% | 94.4% | 47.4% | 24点以上/30点 | 174点以上/270点 | 64.4% |
99 | 2010 | 52,883 | 47,340 | 89.5% | 93.9% | 46.6% | 40点以上/50点 | 151点以上/250点 | 60.4% |
100 | 2011 | 54,138 | 49,688 | 91.8% | 96.4% | 51.6% | 40点以上/50点 | 163点以上/250点 | 65.2% |
101 | 2012 | 53,702 | 48,400 | 90.1% | 95.1% | 33.7% | 40点以上/50点 | 157点以上/247点 | 66.3% |
102 | 2013 | 56,530 | 50,244 | 88.8% | 94.1% | 35.7% | 40点以上/50点 | 160点以上/250点 | 64.0% |
103 | 2014 | 59,725 | 53,495 | 89.6% | 95.2% | 42.7% | 40点以上/50点 | 167点以上/250点 | 66.8% |
104 | 2015 | 60,947 | 54,871 | 90.0% | 95.5% | 39.2% | 40点以上/50点 | 159点以上/248点 | 64.1% |
105 | 2016 | 62,154 | 55,585 | 89.4% | 94.9% | 35.5% | 40点以上/49点 | 151点以上/247点 | 61.1% |
106 | 2017 | 62,534 | 55,367 | 88.5% | 94.3% | 35.6% | 40点以上/50点 | 142点以上/248点 | 57.2% |
107 | 2018 | 64,488 | 58,682 | 91.0% | 96.3% | 44.5% | 39点以上/48点 | 154点以上/247点 | 62.3% |
108 | 2019 | 63,603 | 56,767 | 89.0% | 94.7% | 29.3% | 40点以上/49点 | 155点以上/250点 | 62.0% |
109 | 2020 | 65,568 | 58,513 | 89.2% | 94.7% | 37.4% | 40点以上/50点 | 155点以上/250点 | 62.0% |
110 | 2021 | 66,124 | 59,769 | 90.4% | 95.4% | 44.4% | 40点以上/50点 | 159点以上/250点 | 63.6% |
111 | 2022 | 65,025 | 59,344 | 91.3% | 96.5% | 38.9% | 40点以上/50点* | 167点以上/250点 | 66.8% |